カミツレモドキ(加密列もどき、学名: Anthemis cotula) は、キク科に分類される植物の一種。ヨーロッパ原産で、日本を含む世界の温帯地域に外来種として定着している。「カツミレモドキ」という表記もまれに見受けられるが誤りである。中国名は臭春黃菊。

分布・生育地

ヨーロッパの広い地域と北アフリカの一部地域を原産地とする。

アフリカ、アジア(日本を含む)、南北アメリカ、オセアニアに移入分布する。

牧草地、道端、荒地、畑などの環境に生育する。日本では散発的に出現したものが見られる。

特徴

一年生植物。全体に悪臭がある。茎は多くの枝に分かれて、直立または斜めの立ち上がり、草丈は20 - 40センチメートル (cm) になる。葉は羽状複葉で互生し、2 - 3回羽状に深裂して、裂片はやや立体的になる。最終裂片は細く、幅0.5 - 0.8ミリメートル (mm) ほどである。

花期は夏(6 - 9月)で、頭状花(頭花)を茎の先に1つずつ咲かせる。頭花は径1.5 - 2.5 cmで、周囲につく白い舌状花は15個以内で、中心に黄色い筒状花が多数集まる。舌状花は雄蕊、雌蕊ともない。中心部の筒状花の集まりは、はじめは円盤状であるが、のちに中央が高まって高さが横径よりも高くなる。筒状花は両性で、冠毛はない。花床は円錐形で、その上半分に白色の細い鱗片がつく。総苞片はおおよそ3列に並び、乾燥した膜質で外面に毛がある。果実には不明瞭な10本の筋がある。

シカギク属(Matricaria、別名カミツレ属)とはどれも外観が似ているが、花床にはまったく鱗片がない点で、本種カミツレモドキとは明確に区別される。

外来種問題

日本では1931年(昭和6年)に神奈川県横浜市で初めて確認され、観賞用・薬用として全国に拡大した。和名は横浜の採集品から、久内清孝が名付けた。

雑草としても問題になるが、異臭を放つため牧草地や農作地に発生すると、乳牛(牛乳)や農作物の商品価値を低下させる。また、人間の皮膚炎の原因ともなり、草刈り時にかぶれたりする。耕起や除草などの管理をしっかり実施すれば、防除は可能である。

外来生物法により要注意外来生物に指定されている。

脚注

参考文献

  • 長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年6月1日。ISBN 4-586-30053-1。 

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、カミツレモドキに関するメディアがあります。

  • "Anthemis cotula L." (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2008年6月17日閲覧。

カミツレモドキ

イヌカミツレ

カミツレモドキ

カミツレモドキ

カミツレモドキ (キク科)